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国民不在の裁判員制度の制定経過を明らかにする


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殺人犯を裁けますか?―裁判員制度の問題点
第1章で裁判員制度の概要、第2章で裁判制度について、第3章で裁判員制度の問題点を説明しているが、この本の最大の特徴は裁判員制度成立の経過を詳細に説明している点であろう。

アメリカからの規制緩和要請に基づき、弁護士の大幅増員を果たしたい自民党、従来から裁判官と検察官の不足に悩んでいた最高裁と法務省、そしてこれを、長年の悲願としてきた陪審員制度を実現できる最後のチャンスと見た日弁連が乗っかる形で議論が始まったのが今回の裁判員制度の発端である。
結局、陪審員制度には絶対に反対の立場を取る最高裁との間で議論が暗礁に乗り上げたときに、審議会の委員長から出た「陪審制でも参審制でもない新しい制度を検討すれば」という言葉から裁判員制度への流れができたという。

つまり、この制度は全く国民のことなど考えておらず、利害関係団体の駆け引きから生まれた妥協の産物なのである。
制度制定の目的と実態が全く乖離しているのも無理はない。「国民参加」ありきで充分な議論なしに妥協の固まりとして設計された制度なのだから。

国民を司法に参加させるべきであるのであればなおさら、施行を延期してしっかりと制度を設計し直すべきであろう。
引用元:国民不在の裁判員制度の制定経過を明らかにする

三浦萌

 裁判員制度について数冊、本を読む機会があったが、本書は批判が論理的かつ明確でよくわかる。
 本書の「裁判員制度批判」の論点は多々あるが、素人が高度な法的判断を求められる「事実認定」や「量刑」を判断することの弊害が大きな柱である。裁判事例などを通して具体的に解説しており、「事実認定」とはどうゆうことか、「量刑」とは何かが良くわかる。
 もうひとつ秀逸な批判点は「みんなで決めたこと」批判。一見、民主的に見えるこの制度の欺瞞を鋭く指摘している。江戸時代の村裁判の実例を挙げて「多数決」の恐ろしさについて考えさせられる。「みんなで決めたこと」だから万事OKではなく、重要な人権に関わる問題においては特に、慎重な根拠の精査が大前提であり、法律とその専門知識はそれを保障していることが示されている。
 法律の専門家は法の定める範囲でその判断を争うが、法的知識が無い人は法に制約されない。このようにして下された決定で人生が左右される被告人の権利はどうなるのだろうか。こんな制度では「冤罪」が増えることは必然だろう。
 「裁判員制度」の問題点を知りたい人にお勧めです。手軽ですが深い批判書です。

引用元:

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