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文学に昇華出来ていない


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私の男
ライトノベル出身、父と娘の近親相姦…、敢えてこの小説を読まなくても、もっと他に読みたいものがあるし…、と「直木賞受賞」のニュースの後も、なかなか手を出さなかった(小説好きなので、かなり珍しいこと)。
山崎ナオコーラ「人のセックスを笑うな」のように題名でギョッとさせたり、この作品のように「反社会的」「退廃的」なものを取り上げるというのは、どうも嫌悪感を覚える。
その「キワモノっぽさ」で関心を集めようとしてるようにしか思えない。
…と思っていたのだが、偶然「情熱大陸」でご本人を見てしまった。

「このおとなしそうな人が、いったい何故そんなテーマを?」
「どんな文章を書くのだろうか?」
好奇心に負けて、手にとってしまった。
取り上げるならとことん追求してくれ。
「文学」として昇華出来てたら認めてやるよ(←なぜか上から目線(笑)!)
そんな意地悪な気分で読み始めたのだが、これが共感もしない代わりに、テーマのわりに強烈な反感というものも催さない。
こういうテーマな以上、これは問題なのではないか。
「反社会的なのに」なぜか共感を覚えてしまった、あるいは、エゴイズムの行き着く果てを見せつけられるようで気分が悪くなった等…どちらか両極端じゃないと書いた意味がないと思うのだが。
娘の方は分かる気がするのだが、父の心情が描けていないせいではないだろうか。
キーワードとなる「私の男」はいいのだが、「血の人形」が巧くない。
父から娘への形容で、これ以上の巧い言葉が書かれていたら、数段いい出来になったと思う。
「インモラル」という訳ではないが、「退廃的」という意味では、数年前に読んだ車谷長吉の「赤目四十八瀧心中未遂」に、文学的に遠く及ばない。
これも好きではないが、優れたものは好悪の情を超越して、認めざるを得ないものだ。
引用元:文学に昇華出来ていない

大貫かおり

凄い小説だ。こんな作品を文庫本で読めて、自分は幸せだった。

芥川賞をとれて本当に良かったと作者のように思う。選考委員にこの作品に共感する余地があったのは、これから同じように作品を書こうとする者にとって、大きな勇気づけになり、執筆動機にすらなる。

作品で感じることは千差万別だろうが、とりあえず感想をのべると……若者のもつ心の暗部についての物語だということ。なぜいま若者と呼ばれる世代の子たちがこんなにも自尊心がなく他人に対しても残虐な行為に走れるのか、という心の課題についてかなり際どいところまで迫った物語だと一番強く感じた。

同時受賞の綿矢りさが若者の陽の部分を捉えたとすれば、金原ひとみは陰の部分にひたすら目をむけてくれた。自分の場合、金原ひとみ作品のほうに、強く興味と共感を覚える。

なぜなら、『人は人生に対して幸福を求めるが、物語には不幸を求める』という、その言葉以上に、金原作品には深い破滅の予兆を感じるからだ

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