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未熟か否かと問われれば未熟だ。だが、魅力的か否かと問われれば大変魅力的だ!


写真商品名
旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。 (電撃文庫 よ 4-1)
少年の懐の深さと、少女の潔さと、スーパーカブのタフさと、登場人物の儚さと輝き。

名が失われ、写真が薄れ、色が褪せ、影がなくなり、フッと消えていなくなる「喪失症」。
全世界がその正体不明の病とも言えないものに侵されている。
やがて皆消える。しかし、名を失って消えつつある者にも「今」はある。

本作がデビュー作ということで完成された文体といったものは期待しない方がよいだろう。
しかし、新人ゆえのストレートで小気味いいセリフやフレーズもまた、あるものだ。

『スーパーカブよ。おまえの力を見せてみろ』

『少女には、元いた町に帰る気は、なかった。(中略)この旅に意義など求めていない。苦労など知ったことか。行き先なんて考えたこともない。(中略)少女は、少年と一緒にいるために、旅を続けているのだ。(中略)もし二人が故郷へ帰るとすればそれは、世界を一周したときだ』

物語としては1巻で完成しているので、続編は出ないかもしれない。
しかし、著者の次回作には大変期待している。

夏の日のロードムービー。
ボーイミーツガール(本作はむしろガールミーツボーイだが)。
北海道ツーリング。
スーパーカブ。
これらの単語に反応する方はきっと楽しめると思う。




引用元:未熟か否かと問われれば未熟だ。だが、魅力的か否かと問われれば大変魅力的だ!

吉沢瞳

これまで思っていた周囲の風景が変わってしまうところはさすがです。相変わらず見事な名作とのシンクロさせ方ですし,それが文脈の意味をすげ替えていく様は読み応えがあります。家族療法で言うリフレーミングという手法と同じように思えます。それにより物の見方が変わり,よりよい落ち着きを得ていく様子は素晴らしい。
それらはもちろんですが,この巻の最後についに本筋の物語が不気味に動き始めます。是非,最後まで読んだ後に,もう一度,太字の手紙を読み返してください。あの人が実は最初の方から登場していたことに気付き,手紙から感じるものが最初とがらっと変わり,背筋に寒いものを感じてしまいます。みんなどうなってしまうんだろうと。
そんな,2重,3重構造になっている,読み返すことを想定している小説は多くはないし,その意味でも実に見事な作品です。もうやめられません!

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